高取焼は、関ヶ原の合戦後、黒田長政が筑前に入国して以降、陶工八山(高取八蔵)に命じて宅間の地に開窯したことに始まります。つまり、有名な高取焼発祥の地・伝統ある高取焼の第一歩を踏み出した窯として非常に重要な窯跡なのです。

宅間窯跡は、全長16.6m、6室の焼成室を持つ割竹型登窯(竹を半分に割ったような半円状の天井を持つ)です。茶器も生産していますが、その中心は擂鉢や瓶、皿などの日用雑器でした。作風は、素朴であり、厚く、重たい印象を受けます。朝鮮人陶工八山の出身である李朝風の作風が色濃く残っています。直方市教育委員会では、昭和57年に宅間窯跡の発掘調査を実施し、開窯当時の窯の特徴や陶器の特徴など多くの調査成果を得ました。また、宅間窯跡に次ぐ高取焼第二の窯である内ヶ磯窯跡は、昭和54年から平成11年まで8次にわたる発掘調査が行われ、窯跡全面を発掘調査した全国的に見ても珍しい窯跡です。珍しいだけでなく、近世陶器研究にも大きな影響を与えるほどの調査成果となりました。内ヶ磯窯跡は、現在福智山ダムの湖底に保護され眠っています。宅間窯跡は、見学することのできる直方市を代表する遺跡として大切に保存していかなければなりません。

• 西鉄バス永満寺行、永満寺バス停より徒歩30分
• 直方市文化財調査報告書　第５集
• 直方市立図書館に蔵書（外部リンク）