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    文化財を被災させないために…私たちの願い

    2021年01月27日更新

    皆さまは、「文化財防火デー」という日を知っていますでしょうか?

     

    恐らく、その答えは悲しいかな、ほとんどの人が「知らない」「何それ?」だと思います…しかし。この文章を読めば、明日からは「文化財防火デーってこんな日なんだよ」と周りに話したくなること間違いなし!しばしお付き合いを。

     

    最近では、フランスのノートルダム大聖堂や沖縄県の首里城に代表されるように貴重な文化財の大火災が相次いで起こっています。また、令和2年7月豪雨に代表される、大雨による文化財の被害も深刻になっていますよね…国宝や国指定の史跡が被害にあった話を伺うと、辛い思いになります…こうした文化財は、一度被災してしまうと、二度とオリジナルに戻せないだけでなく、修復にも膨大な時間が必要となります。また、文化財を失うという事は、地域の方にとってのシンボルや心のよりどころ・誇りさえも失ってしまう、非常に大変なことなのです!

     

    そうならないよう、日ごろから防災に対する意識を持っていないといけないのですが、日々の生活に追われ「そんなこと意識してられるか!」という方が大半かと…

     

    そこで、この文化財防火デーという日の役割があるのでございます!

     

    昭和24年1月26日のこと、奈良県斑鳩町にある聖徳太子とゆかりがあることでも知られる法隆寺。この法隆寺の貴重な金堂が炎上し、壁画が焼損したことをきっかけにして、昭和30年に文化財防火デーが定められました。この日を前後して、全国各地で文化財の防火訓練や消防点検、防火査察などが行われています。

     

    この事件は、世の中に強い衝撃を与え、翌年の昭和25年に文化財保護法が制定されるきっかけともなったのです。

     

    その後、昭和29年に法隆寺金堂は再建されますが、文化財保護思想の一層の強化徹底を図るため、普及啓発事業が行われるようになりました。その一環として、法隆寺金堂が焼損した日である事、1月と2月が1年のうちでもっとも火災が発生しやすい時期であることから、文化庁と消防庁が文化財を災害から守るために定めたのです。

     

    こうした文化財防火デーの趣旨に賛同し、直方市では、毎年1月26日前後に市内各所の指定文化財を中心として、直方消防署と合同で消火訓練を行っているのです。

     

    今年は、1月26日(火)に上頓野の八幡神社において文化財防火デーの防火訓練を実施しました。午前9時30分、神社北東側の雑木林から出火したとの想定で白煙があげられ、訓練が始まりました。小雨が降る中、数分で消防車が到着、雑木林に向けて放水、神社への延焼を防ぐと同時に、消火作業を行いました。10分程度で無事に鎮火させました。


                                                                        八 幡 神 社

     

    さて、なぜ八幡神社において訓練が実施されたかというと、ここには直方市指定文化財である「八幡神社の洪鐘」があるからなのです!八幡神社は、建武2年(1335)宇佐八幡から分霊され、建立されたと伝えられています。現在本殿に安置してある洪鐘は、永享2年(1430)に製作されたもので、長州吉田郡(現山口県下関市)にかつてあった「東光寺」というお寺にかけられていたものです。それが、どういう経緯かは不明ですが、永正6年(1509)に八幡神社へ移されたもので、なんと約600年前に作られた大変貴重な文化財なのです。(詳しくは、こちらのページをご覧ください)

     

    ここで、「ん?神社なのになぜ鐘があるの?」と思ったあなた!実に鋭いですね!

     

    この洪鐘は、干ばつなどが起こった際、竜王峡の滝つぼに沈められ、雨乞いの鐘として地域の信仰を集めていた、由緒正しき鐘なのです。

     

    こうした貴重な文化財が火災などで被災しないよう、防災意識を高めるきっかけになればいいなと思っています。

    直方消防署の隊員の方々、地元の消防団の方々の迅速な消火作業には、大変心強く感じました。今後とも市民の生命・財産を守るため一層のご活躍をお祈り申し上げます。

                                      放水訓練の様子

     

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